アルコールと通話と君

 

 

 

 

君の声が聞けなくて寂しい日は

アルコールを体に流し込む

 

 

 

味はよく分からない

 

 

しゅわしゅわとした舌触りと

アルコールの匂い 

 

 

中学の頃に使ったアルコールランプと

同じ匂いがする

 

 

子どもの頃はこんな液体の何が美味しいか

わからなかった

 

毎日飲んでいる今でも

何が美味しいかわかってない

 

 

それでも

自分の気持ちに正直になれるから

アルコールが好きだ

 

 

 

今日は君と通話ができない

 

 

君には君の都合があるから

無理に通話したいなんて言わない

 

 

そういうのが亀裂を生む原因だって知ってるから

 

男らしくいたい彼をたてるため

私は常に1歩後ろを歩く

 

 

それでも全然窮屈じゃないし

彼に見合う女になるために

そのくらいの努力は苦ではなかった

 

 

ただやっぱり少し

いやかなり

寂しかったのかもしれない

 

 

彼とのトーク画面に

いつもなら使わない言葉を

躊躇なく飛ばした

 

寂しすぎて死んじゃう

 

そんな可愛い言葉で彼の気を引いた

 

 

 

 

「すこしだけ話せない?」

 

 

 

期待はしていたが

予想外ではあったその言葉に

同様と喜びを隠しきれなかった

 

 

 

電話が繋がり

彼が声をかけても

アルコールが回った頭は正常な会話ができず

ただへらへらと笑うことしかできなかった

 

 

 

 

勢いで彼が他の女に靡かないか聞いた

 

 

そんなわけない、俺のこと信用できない?

 

 

 

彼の切なそうな、でも芯のある言葉に

私はホッとした

 

俺にはお前しかいないから

 

 

そんな言葉をかけてほしいがために

誘導するように流した会話

 

 

 

私の面倒くさい会話にも

彼は可愛いと言って付き合ってくれた

 

 

 

実際会って飲んだらおかしくなっちゃいそう

でも早く一緒に飲みたいね

 

 

 

 

アルコールの美味しさは未だに分からない

 

それでも彼と楽しく話せるなら

私はアルコールを摂取する

 

 

いつか美味しいって思えるように