繋いだままで

 

 

 

 

朝、目が覚めると

彼と通話中であることを表す画面が

スマートフォンに表示されていた

 

数時間だけ寝ちゃって

まだ明け方の5時くらいだと思ってたのに

もう朝の7時

 

どっぷりと眠りに浸っていた

 

 

せっかくの話せる時間なのに…

と思う反面

彼と電波を繋げたまま

ぐっすり眠っていた自分に

なんとも言えない幸福感を覚えた

 

 

今まで聞いたことのないような甘い声で

彼が私の名前を呼んだ

 

 

その甘さに釣られて

私の声も甘さを増した

 

 

電話越しでしかないのに

なんだか一緒に朝を迎えた気持ちになって

すこしだけ恥ずかしかった

 

 

寝起きの掠れた声で会話をし合う

 

彼が可愛いと言ってくれるのが嬉しくて

可愛いと思われるような言葉で喋る

 

 

通話時間の表記は9時間を越えようとしていた

 

 

 

彼が毎日のようにでろでろに甘やかしてくる

 

 

どうやらべた惚れらしい

 

 

 

私だって

好きで好きでしたかない

 

あのとき

私のものにしたくてたまらなかった人が

今私の全てになってる

 

 

 

たまらなく愛おしかった

 

 

 

まだあと30分繋いでていい?

 

 

そうは言ったものの結局お互い

安心しすぎているせいでうとうととしたまま

約束の時間がきた

 

 

切りたくない…

寂しい……

 

心の底からそう思った

 

 

ずーっと

ずっとこうしてたいのに…

 

 

なんでこんなに大好きなんだろう

 

 

 

 

今日会えるから

 

 

 

その言葉を胸の中の宝箱にそっとしまった

 

 

彼のことがどうしようもなく好きだし

自分のことがどうしようもなく愛おしい

 

 

 

早くあなたに会いたいな